人間の舌が感じる五基本味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)のうち
最も感じにくい味、それが甘味である。
菓子を作った経験があればわかるのだが
甘さを出すには大量の砂糖が必要になる。
ぞっとする量の砂糖を入れてやっと甘い菓子が出来上がる。
つまり人間は元来甘味を感じるようには出来ていない。
生きる上で最も必要無い味とも言えるのではないだろうか?
だが人間は甘味を求めるのだ、それも何度も、際限なく…
それは甘味が”快楽”だからである。
つまり甘味とは麻薬がもたらす快楽と何ら変わらないということである。
甘味という快楽の残照が頭に焼き付き、
それを常に求めるようになるという高い中毒性、
そして甘味という快楽さえ手に入れば他はどうでも良くなってしまう…
世の中のあらゆる苦境へのふんばりが出来なくなる、
物事の正常な判断ができなくなる、
つまり人間を堕落させるのだ。
簡単に述べるなら頭を悪くするのである。
麻薬中毒者が健常者より”弱い”のは説明不要である。
そして甘味と麻薬の快楽が根本的に同じモノであるのなら…
甘味中毒者と健常者を比較した場合どうなるか?
麻薬と同じ結果が出るのではないだろうか。
これは著者が提唱する
「甘味中毒者は健常者より”弱い”」
という甘味の方程式である。
そしてこれを逆に考えれば、
甘味を摂らない人間が甘味中毒者に負けるはずは無いということになるのだ!
それを立証するには甘味とサムライの誕生の歴史を知ることが必要であろう。
甘味とサムライとの関係…それは常に日本の覇権を左右してきたのである。